事業承継体験談

個人が日本政策金融公庫で事業承継融資を受けるまでの流れを解説

11月6日、日本政策金融公庫から連絡があり希望額満額で融資が通ったとの連絡がありました。私が利用した融資制度は日本政策金融公庫の事業承継・集約・活性化支援資金というものです。

個人事業主でない、自分で事業を立ち上げた経験も経営経験も全くない素人の個人がお金を借りるのはかなり大変で私の場合、融資が決まるまでに3ヵ月かかりました。

また提出する必要のある書類もたくさんあります

本記事では個人が日本政策金融公庫で事業承継融資を受けるまでの流れと、必要な手続きや書類について紹介します。

日本政策金融公庫で融資を受けたのは、そこしか個人へ融資をしてくれる銀行がなかったから

2018年から後継者のいない会社を買おうとスモールM&Aと呼ばれる活動をしてきましたが、具体的に話を進める事が案件が出てきても融資がうまくいかず頓挫してきました。

最近は状況が変わってきているのかもしれませんが、2018年の時は民間の銀行に融資の相談に伺うも、サラリーマンや個人にM&A資金を融資した例はなく融資は出来ないと断られる事しかありませんでした。

M&Aの活動をするまで一部上場企業のサラリーマンの自分は社会的にそこそこ信用があると思い込んでいたので、民間の銀行から1円も融資してもらえない、信用が0である事を突きつけられたのは衝撃でしたし、会社の看板を外した自身には全く価値がない事を思い知らされました。

そんな中、なんの実績のない個人に対する融資に前向きに対応してくれたのが日本政策金融公庫でした。

融資までにかかった期間と流れ

最初の面談から融資が決まるまでにかかった期間は私の場合3ヶ月です。

8月の中旬に事業引き継ぎ支援センター紹介のもと日本政策金融公庫と1回目の面談に望みました。

私が面談に行った支店は個人に事業承継融資をした例が全くなく公庫の人も手続きの流れがよく分からない状態でお互いに手探り状態でした。

後々判明したのですが私の前に、個人で事業承継融資を利用したのは全国に1人しか居らずこれが2例目だったようです。

その面談で事業承継融資を受ける為には中小企業庁にて、経営円滑化法認定を受ける必要がある事が分かりました。

引用元:日本政策金融公庫

中小企業庁での円滑化法案を受けるのに必要な書類などは下記の記事に纏めてますので興味がある方は参照ください。

日本政策金融公庫から個人が融資してもらう為に必要な金融支援認定の申請方法
日本政策金融公庫から個人が融資してもらう為に必要な金融支援認定の申請方法日本政策金融公庫で事業承継資金を個人が融資してもらう為には 金融支援認定を受ける必要があります。金融支援認定の方法が中小企業庁に載っているのですが記載内容が分かりにくい為、個人が金融支援認定を受けるために必要な書類と書類記載時の注意点をまとめました。...

私の時は申請する人がほぼおらず空いていた為、書類準備含めて3週間ほどで認定を受ける事ができました。

認定を取得したのち、再度面談に。初回面談から丁度1ヶ月半ほど過ぎた頃です。

この面談では下記書類を持参する必要があります。

  • 通帳
  • 登記
  • 借入金申込書
  • 源泉徴収票
  • 過去の投資関係の収支報告書
  • 事業計画書
  • 事業承継先の決算書2期分
  • 事業承継先の今期の見通し

これらの書類の中で事業計画書は認定機関(私の場合事業引継ぎ支援センター)に確認印を貰う必要があり確認印をもらうのに1週間から10日ほど必要なので早めに作成する事をお勧めします。

また面談では、事業承継先の会社の内容(取引先の数や売上の割合、今後の展望など)経営に関わる事を質問され融資をするに値するか経営者としての素質が審査されますので、しっかりとデューデリジェンスを行い準備しておきましょう。

面談後、更に追加で提出する資料として

「連帯保証人届」

を提出する必要があります。

これは通常、法人が融資を受ける際は保証人として法人の代表取締役個人が連帯保証人となりますが、個人の場合それが逆で、法人に連帯保証人になってもらう必要があるわけです。

法人に連帯保証人になってもらう為にはその会社の代表取締役に了解と書類への記名捺印が必要です。連帯保証はあくまで法人に対してで社長には一切責任が及ぶ事はないのですが連帯保証人届け出書に自分の名前と印を押しもらわなくてはいけなく、一切責任が及ぶ事がない事を理解をしてもらうのに時間がかかります。

自分で説明するより公庫やアドバイザーの方から説明してもらったほうがいいでしょう。

連帯保証人届を提出後、ようやく日本政策金融公庫内での審査が始まります。

私の場合、連帯保証人届を提出するのに2週間ほどかかりましたので、この時で初回面談から既に2か月が経過していました。

公庫での審査がはじまり3週間ほど経った頃、公庫の担当者から連絡があり追加の書類と事業承継先の会社の中を見せて欲しいと連絡がありました。

決算書に記載されている在庫の確認と業務実態の調査の為です。

また来訪された際に追加の書類の提出が求められました。追加書類は以下の4点です。

  1. 会社の定款の写し
  2. 株式名簿の写し
  3. 会社の3月末の法人税支払いの領収書の写し
  4. 株式譲渡の同意書

これらの書類を提出し、2営業日後に日本政策金融公庫支店から本部へ稟議書が送られ本部にて審査となりました。

本部の審査は約1週間ほどかかり、結果希望していた満額の融資を受ける事ができました。

融資契約当日には

  • 印鑑証明書
  • 株式譲渡承認の決議書
  • 預金口座振替利用届(金融機関で手続き済みのもの)
  • 実印

を持参し30分ほど融資について説明を受け融資契約を結びました。

実際に融資資金が自身の口座に入るのは最短で契約を結んでから3営業日後となります。

事業承継融資を受ける為に必要な書類まとめ

事業承継融資で面接時に準備の必要な書類はこちらです。

自分で準備が可能な物

  • 通帳
  • 登記
  • 借入金申込書
  • 源泉徴収票
  • 過去の投資関係の収支報告書
  • 事業計画書
  • 経営承継円滑化法金融支援認定書

事業承継先の協力が必要なもの

  • 連帯保証人届
  • 事業承継先の決算書2期分
  • 会社の定款の写し
  • 株式名簿の写し
  • 会社の3月末の法人税支払いの領収書の写し
  • 株式譲渡の同意書

事業承継先に準備してもらう必要のある書類が数多くあるので承継先とは良好な関係を築いておく必要があります。

融資契約日に必要なもの

  • 印鑑証明書
  • 株式譲渡承認の決議書
  • 預金口座振替利用届(金融機関で手続き済みのもの)
  • 実印

事業承継融資の金利は?返済期間は?

私の場合金利は1.8%でした。

民間の金融機関だと2.4 %ほどと聞いていたので、民間で借りるより安い金利で借りれました。

借りた金額が大きいので金利が少し低いだけでもとても助かります。

公庫のHPを見ると事業承継融資は条件によって特利AかBが適用されます。

引用元:日本政策金融公庫

私の場合、特利Aが適用されたようです。

また事業承継の資金は設備資金に該当する為、返済期間は最大20年です。

私のケースでは返済期間は最大の20年を希望したところ希望がそのまま通りました。

事業承継融資をできるだけ短期間で受ける為には

融資を受けるのに3ヵ月かかりましたが、もう少し立ち回りを上手く出来たら融資期間短縮出来たなーと思う部分もあります。

事業承継融資で時間のかかる書類は2点です。

  • 経営承継円滑化法金融支援認定書
  • 連帯保証人届

これらの書類をもっと素早く入手出来ていれば融資期間を3週間は縮める事が出来ていました。

経営承継円滑化法金融支援認定書

まず一番時間のかかる書類が、経営承継円滑化法金融支援認定書です。

この書類は手に入れるのに申請してから1か月くらいかかります。

また申請した人が全員が認定を貰える訳ではなく、事業承継を確実にすると判断された人しか貰う事が出来ません。

具体的な条件としては

  1. 基本合意を結んでいるか
  2. 日本政策金融公庫と相談を実施しているか
  3. 事業引継ぎ支援センターなどの公的な支援機関が間に入っているか

などです。

私の場合は上記3つの条件全て満たしていたのでスムーズに行きました。トランビやバトンズといった民間のM&A仲介サイトを利用した案件だと3番の条件は満たせませんが、最低限1,2の条件は満たした上で、申請を出す前に一度アポイントをとって自身の状況の説明や用意している書類を確認してもらうと上手くいく可能性が高まります。

連帯保証人届

個人で担保になる資産を持っていない場合、交渉先の会社自体に連帯保証人になってもらう必要があります。会社自体に連帯保証人になってもらう為の書類で基本的には社長に連帯保証人の責任が及ぶ事は無いのですが、書類には会社の社長のサインと社長の個人実印を押してもらう必要があります。

連帯保証人になるのは会社だから社長は全くリスクが無いかというとそんな事はなく少々リスクがあります。

例えば事業承継融資を受けてから株式譲渡契約を結ぶまでに時間が空いた場合、融資を受けた人物がそのお金を持ち逃げして株式譲渡契約に現れなかった時は法人に融資金額の返済が求められる事となり法人の代表である社長は代表責任としてその債務を肩代わりしなくてはいけなくなってしまいます。

連帯保証人というのは非常に重たい責任です。

なので交渉をしている会社の社長との信頼関係をしっかりと築き、事業承継融資を受ける日と株式譲渡契約を結び日を同日にしたりするなどして社長にとっての不安要素を取り除くように時間をかけて働きかける必要があります。

日本政策金融公庫と面談をして融資を進められる事が分かったら出来るだけ早く説明を信頼関係を構築していきましょう。

事業承継の株式買取資金の一部を日本政策金融公庫から借りるのは正解?

私自身はサラリーマンの経験しかなく経営経験はもちろん、副業でビジネスをしたことすらない実績0、信用0のド素人です。そんな人間にも融資をしてくれるありがたい銀行です。

私と同じように実績のない個人が1番借りやすい金融機関は日本政策金融公庫じゃないでしょうか。

ただ融資が決まるまでに民間の銀行の融資に比べて時間が必要なので出来る限り早く譲渡をしたいと考えている会社が相手だと難しい点があるかもしれません。

また私の場合事業引継ぎ支援センターからの紹介案件だった為、公庫も非常に融資に前向きな姿勢で望んでもらえましたし中小企業庁での金融支援認定もすんなり貰う事が出来るという非常に運のいい案件でした。

民間のトランビのようなM&A仲介サイト経由の案件だとどうなるか分かりません。

融資に必要な金融支援認定を貰うのに手間取る可能性もあります。

とはいえ条件によっては民間の金融機関よりも条件良く融資してもらえる可能性もありますし民間の金融機関で先に借りて公庫で借り換えとい事は民業圧迫になってしまい出来ないので融資検討の際には必ず相談しておいたほうがいいです。