事業承継

M&A体験談|小規模M&Aで次回に活かしたい反省点4つ

後継者のいない数名程度の小さい会社を株式購入という形でM&Aによる事業承継をして1年半が経過しました。

なんとかコロナ危機を乗り越えブログ記事を更新する余裕も出てきました。

自身が行ったM&Aを冷静に振り返ってみると、ここは失敗だったな~反省して次に活かさないとなって感じる事がいくつかあったので紹介します。

本記事では小規模M&Aを行ってサラリーマンから経営者にジョブチェンジした筆者がM&Aで失敗したと思う4つの点を紹介します。

小規模M&Aでの4つの大きな反省

今更ですが思い返してみると、かなり危険な綱渡りを歩んできたなと感じる事ばかりです。一歩間違えば今頃一文無しか多額の借金を抱えて途方にくれていたので運が良かったと思います。

今回はそんな綱渡りのM&Aで失敗したなと思う事を厳選して4つ紹介します。(細かい失敗など含めるともっと沢山あるですけどねぇ・・・)

その内容とやらかし度の大きい順に紹介すると以下の通りです。

1位:何も決まってないのにサラリーマンを辞めた事

2位:金額面での調整をあまりしなかった事

3位:引継ぎ期間を長くし過ぎた事

4位:サラリーマン時代に起業、経営について全く学んでいなかった事

順位が低い順に一つずつ具体的な内容を紹介します。

4位:サラリーマン時代に起業、経営学について全く学んでいなかった事

私が小規模M&Aの存在を知り、実際に行動をうつす事となったのはこの本によります。

サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい

この本には今アトツギのいない会社なら運が良ければ300万円くらいで購入する事ができ、大企業で管理職をやっていれば問題なく経営できるよといった内容が書かれておりました。

本で言っていた管理職というのは今思い返せば、新規事業の企画、立ち上げなどをできる裁量を持っていて実際にやった事がある人を示していたんだなと今なら思います。

しかし当時の私は短絡的に内容を解釈し、自分も管理職(中間)だし同期の中で一番早く管理職(中間)になったんだから自分なら絶対いけるという意味不明な自信に満ち溢れ、経営手法なんて管理職をやっていれば自然と身につく、いや管理職に昇進した自分は既にそれが見についているのだろうなどと考え、起業や経営学について学ぶ事すらしておりませんでした。

今思い返しても愚か者です。

経営学の本を買えばどの本にも載っているようなド基礎(セグメント、ターゲット、ポジション(STP))すら知りませんでしたから。

私がSTPという単語を知ったのはコロナショックが直撃し数か月間売上が激減するという危機的状況に陥った際、なんとか窮地を脱しなくてはと必死で行動した際に読んだ本で学びました。

サラリーマン時代に経営学を学んでも、それを実践に移す場面にはなかなか巡り合わなのでモチベーションは上がりにくいですが頭の片隅に経営学の知識があればもっと早く効果的な対策を思いついたんじゃないかと思います。

中間管理職を3年やっただけで自主的に勉強はしてませんが経営学も身に付けた気でいた自分が恐ろしいです。

私くらい短絡的でお気楽思考な人はほとんど居ないと思いますが会社を買おうと検討している人は経営学の本を一冊くらい一読しておく事をお勧めします。

私がお勧めの経営学の本はこれです。実例を交えながら経営学について解説してくれるので非常に分かり易いです。

新しい経営学

3位:引継ぎ期間を長くし過ぎた事

続いて第3位ですがM&Aをして事業を承継する際に、分野が専門的な分野ですし学ぶことも多いだろうと考えて1年間引継ぎ期間をとりました。

この案件を紹介してくれた事業引継ぎ支援センターの方も1年ないしは2年くらいは必要と言っていたので最低でも1年は必要なんだと思い1年間の引継ぎ期間とする旨契約書に記載しました。

これが完全に失敗で期間が長すぎました。というのも購入した会社は片手で数える事ができるレベルの従業員数の小規模な会社です。

数人で回せるレベルの仕事なので引継ぎに1年も必要がなく、思い返すと引継ぎ期間は3ヵ月、長くても半年あれば十分な内容でした。

また前社長がいると、中々会社の運営に自分の方針を反映しにくいといったデメリットもありました。というのも自分の方針と前社長の方針が対立した時に昔からいる従業員は前代表に従います。

本来であれば現在100%株主かつ会社の代表である自分に決定権があるはずですが、人の感情というのは法や規則通りにはいきません。

強制すると会社の雰囲気も悪くなるので強引に行う事も出来ません。

引継ぎ期間の後半は方針で対立する事も多かったです。それはお互いの年代が全然違うので当たり前なのですが。

例えばマーケティングに関しても前社長の年代だと営業方法はテレアポが一番効率的なやり方でした。しかし現在ではwebマーケティングが主流になっています。

私も時流にのってwebマーケティングに力をいれていきたいと考え、HPの改修に力をいれましたが、会社にきて毎日HPを直していた所「この会社をHP制作屋にでもする気かー」と激昂されたり、理解を得るのが難しかったです。

他にも新製品のプレスリリースを出そうとなった時も前社長のやり方は各新聞会社へ手紙及びFAXを送るといったものでしたが、現在はPRtimesなどを使えば3万円で新聞会社だけでなくTV局やweb系のニュースサイトなど幅広い方面にプレスリリースを代行して出してくれるので効率的です。

これも最終的にはPRtimesを使ってプレスリリースを出しましたが中々理解して貰うのに時間が必要で苦労しました。

例として2つほど挙げましたがこのような年代の違いによって起こる対立がちょくちょくありました。

お互いに目的は売上をあげる為、会社の為を思っての行動なので何ともしがたい問題です。

やはり船頭多くして船山に上るということわざもある通り、指揮命令する人が小さい会社に二人いると混乱や動きが遅くなってしまうので良くありません。

小規模な会社をM&Aする際は引継ぎ期間は3ヵ月程度としておき、3ヵ月経過した時にまだ足りなければ延長ないし相談役のような形で困った時に1日いくらといった日当ベースで対応して貰った分だけ費用を払うといった契約とする事をお勧めしますし、今後M&Aを行う時はそういった契約にしようと思います。

2位:金額面での調整をあまりしなかった事

これは結果論になってしまうのですがちょっと会社を高く買い過ぎました。

直近3年間の経常利益などから考えると妥当な金額だったのですが4年、5年前の決算まで確認すると売上はさほど変わらないものの経常利益はほとんど出ていない状態でした。

また直近3年間だけなぜ利益が改善していたかというと社員が1名退職して人件費が安くなったからというだけの理由です。

一応交渉中に4~5年前の決算書も見せてもらうよう依頼したのですが用意するのが面倒くさいとごねられ、こちらとしてもあまり粘って商談がご破算になると困ると考えたのでそれ以上深く追及しなかったのですが、M&A終結後に決算書を見てもう少し粘り強く交渉すれば良かったなと後悔しました。

M&A直後は消費増税の影響で売上が落ち込み、そこに追い打ちかけるようにコロナショックが続くといった大変厳しい状況に追い込まれましたが、コロナは無理にしても、消費税増税前の駆け込み需要で売上が好調という事は決算書をしっかり分析できていれば予見しその分減額交渉もできたかなーと今更ですが思います。

ただM&Aで金額交渉をやり過ぎると交渉破談したり、交渉が上手くいったとしても引継ぎ期間の関係がギクシャクしてしまう可能性があるのでバランスが難しい所ですね。

そもそも個人やサラリーマンだとM&A交渉に進めてくれる案件が非常に少なく、案件が破談してしまったら次の案件を交渉フェーズまで進めるのに数か月かかると思います。

私の場合、勢いでサラリーマンを辞めてしまいお金を稼ぐ手段を持っておらず生活費で原資がどんどん減っていくので焦っていた事と、本件の前に進めていた案件は金額交渉を強めにやってしまい、相手に嫌われ破談してしまった事もあり全く金額交渉はしなかったというか出来ませんでした。

最初は背水の陣でこの案件が流れてしまったら完全な無職、途方に暮れる状態の方が相手に真剣度が伝わる!!というアホな考えを持ってましたが余裕がない状態だと売り手有利になってしまいます。

なのでサラリーマンをやりながらか何かしら稼ぐ手段をもち、余裕のある状態で交渉に望んだ方がいいです。

1位:何も決まってないのにサラリーマンを辞めた事

栄えある?1位はサラリーマンを辞めた事です。

前項の最後にも書いたのですが、交渉をする時に無職は色々と辛いです。

固定収入がないとたとえ貯蓄がある程度あったとしても日が経つにつれて焦ります。

私が仕事を辞めたのは2年半前です。仕事を辞める1年前からM&Aの活動をしていたのですが、サラリーマンをやっているとM&A交渉を行うことができるのが基本的には週末だけなので日程調整が難航し交渉が進まないといった事が理由の一つです。

また中間管理職ではありますが管理職をやっていたのでアナウンスをしてすぐに辞めると会社に迷惑をかけると考え、何も決まっていないにも関わらず半年前に退職する旨上司に告げました。

退職する旨伝えると、さほど引き止められる事もなく受け入れられひくに引けない状態です。更に退職するまでの半年間で進めていたM&Aの案件交渉が破産してしまい辞めたあとの将来が何も決まらない状態で会社を退職する羽目に。

退職直前はこれからの将来を考えるとかなり絶望した気持ちに陥り精神的にもきつかったです。

今思い返すと会社に迷惑とかそんな事一切考えければ良かったなと思います。あと2ヵ月勤めていればボーナスも貰えたし失業保険の期間も3ヵ月から半年に伸ばすことだって出来ていました。

そもそもボーナス貰った後に辞めるアナウンスをして1週間程度引継ぎをして残りは有給消化して辞めていったとしても自分の権利を行使しているだけで何の違法性も無かったですから。

また大企業は人材が豊富で社員1名辞めた程度ではびくともしません。自分が辞めたら迷惑がなんてのは自分を過大評価し過ぎでした。実際、私が辞めてすぐに別の人間が管理職として補填され全く問題なく事業は回っており会社での自分はただの歯車のひとつだったんだなと痛感しております。

M&A交渉は上手くいかない可能性が高いのでリスクヘッジは大切です。

サラリーマンというのは中々使う機会がないので実感が沸きませんが沢山の権利を持ってます。日本の法律では雇われ人がかなり有利な条件となっています。

大企業は法令順守がしっかりしているので権利を上手く活用すればいいと事どりをしながらM&A交渉を進めていける事でしょう。

どうしても辞めたいと考えている人でなければギリギリまでしがみついている事をお勧めします。